相続よもやま話6 遺言の有効無効2遺言能力 成年後見との関係

精神上の障害によって、判断能力を欠いた常況にある方に対して、家庭裁判所は後見開始の審判をし、成年後見人をつけます。成年後見人は、包括的な代理権が有ります。一方、ご本人は日用品の購入はできますが、それ以上の高額な取引などをした場合に後見人によって、その行為を取り消されることがあります。

後見人がついた方は、判断能力をいつも欠いているわけですから、高価な財産、遺産について遺言をする能力がないのではないかと思われます。しかし、民法973条では、成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時、医師2人以上の立ち会いで、遺言ができるという規定があります。

時々、この規定で、遺言をしたいと、ご本人ではなく、推定相続人の方が申し出をされることがあります。ただ、私は素人なので、断言はできないのですが、認知症で、判断力が低下し、成年後見開始となった方でこの規定が使えるケースが実際あるのかな、と思います。

そもそも、認知症でもときどきおかしな判断をする程度の方は、後見ではなく、保佐か補助だと思います。

先日、弁護士会の研修で、成年後見等にも関わることのあるお医者さんのお話を聞く機会がありましたが、その先生は、この規定による成年被後見人の遺言の立ち会いは受けないとのことでした。

おそらく、この規定が使われて遺言がなされ、後日訴訟になった場合に、立ち会った医師は証人として呼ばれることは必死であり、尋問の中で判断の妥当性について、厳しく聞かれるかも知れない、という判断があるものと思われます。

一方、保佐、補助がついた方の遺言について、医師の、遺言時遺言ができる程度の判断力があったとの診断書をもらう必要性の方を感じます。

補足ですが、判断力の低下の証明は、ご本人の医療記録や介護保険の記録で行うことが多いです。医療記録の保存義務は5年間ですから、これらの記録がなくならないうちにコピーなど保全をすることが必要です。

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