医療過誤事件について

薬害エイズ事件、ハンセン病国賠事件、薬害肝炎事件といった厚生(労働)省に関連した大事件について被害者側の弁護団に加わっていた(担当は,弁護士としては珍しい社会運動)。そのせいか、患者側の医療過誤事件の相談の電話がかかってくることがある。昔は患者側の医療過誤も相談、受任していたが、残念ながら今はしていない。

医療過誤によって、ご自分ご家族が被害を受けた方は、こころからねぎらい、お悔やみを申し上げたい。

ただ、医療過誤において裁判で責任追及したい、ということになると、かなりハードルが高い。本質的な問題として裁判所は機序(メカニズム)の主張立証を求める。協力医がいなければ、被害に至る機序は普通はわからない。

適切な文献は素人が検索してもなかなか良い物を見つけられない。英文の文献については高い英語力が必要である。素人が一生懸命頑張って文献を読解してもトンチンカンな考えに至ることもある。

弁護士が医療過誤事件を受任したが、協力医が見つからず、機序がわからずに日にちがずるずる過ぎて時効になり、依頼者により損害賠償請求される、弁護士会により懲戒される、という事案はたまに見かける。

それで、ちゃんとした医療過誤を扱う弁護士グループは、常に勉強会を行ったり、医師との交流などを行い、相談、受任は複数であたる。そして正式受任の前に調査のみ行う調査受任するという形態をとる。調査受任はそれだけで30万円程度はかかるようである。

単独で相談,事件を受任する(一番最初の相談は単独でも良いかもしれないが)、最初から事件を受任する(調査受任ではなく正式受任)、協力医のあてがない、という弁護士に医療過誤事件を依頼するのは気をつけた方が良い(うまくいくことがあるかも知れないが)。

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