投稿を再開します。相続法改正1


永らく投稿していませんでしたが、再開致します。とりあえず、今日は相続法改正に関して。相続法が改正され昨年から施行されました。ただ、規定によって、施行日が違うので複雑です。今の時期には旧法適用と新法適用が混在するので注意が必要です。まあ、自分の勉強のために書いている面もありますが。

① まず、自筆証書の方式を緩和する規定です(968条)。これは平成31年1月13日から施行です。

② 次に自筆証書の方式を緩和する規定及び配偶者居住権に関する規定を除いた部分(本体部分とでも言いましょうか)令和元年7月1日施行。

③ 配偶者居住権に関する規定(1028~1041条)。令和2年4月1日施行。もう少しですね。

施行日後に開始した相続について新法が適用され、それ以前開始の相続には旧法が適用されます。

この適用関係には若干の例外があります。

① 遺産分割前の預貯金の払い戻し(909条の2)。相続開始が施行日前でも、遺産分割が終了していない限り適用。

② 自筆証書遺言の方式の緩和(968条)。施行日後に作成された遺言について適用。相続開始が施行日後であっても施行日前に作成された遺言には適用なし。

③ 居住用不動産の贈与等の持戻し免除の意思表示の推定(903条④)。相続開始が施行日後でも施行日前にされた贈与等には不適用。

④ 配偶者居住権の遺贈。施行日前にされた配偶者居住権の遺贈は無効。

⑤ 相続による権利の承継の対抗要件。遺産の分割による債権の承継がされた場合の小計の通知がされた場合には施行日前開始した相続にも適用。

複雑ですね。

実務的にヒヤッとしたことがあります。上記の遺産分割前の預貯金の払い戻しです。新法施行前の相続の案件で,遺言があり相続できない相続人が、この条文を知っていれば新法施行後に金融機関に払い戻し請求が出来たのです。この規定に気づいて法改正を踏まえ金融機関への連絡が出来,事なきを得ましたが。

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