東京弁護士会

東京弁護士会、弁護士お試し制度と組織内弁護士
東京弁護士会が弁護士お試し制度を始めた(詳しくは東弁会報LIBRA2月号)。組織内弁護士の採用を検討しているが一度試験的に弁護士に業務委託したから判断したい企業・地方公共団体に非常勤の弁護士が業務委託により事業所などに赴いて法的事務サービスを行うという制度。
これに対し、日本組織内弁護士協会が名称、制度の見直しを求める意見を表明した。
その意見の私のごくおおざっぱなまとめは以下の通り。
1 目的には賛同する。
2 企業は弁護士の雇用にあたっては、複数の潜在的候補者の仲から慎重なプロセスを経て,何度も面接を行い、もっとも適切と思われる弁護士に対して内定・雇用のオファーを行い、雇用契約の締結に至るのが通例で、そのような慎重なプロセスを省略した簡便なお試しを促すのは賢明ではない。
3 LIBRAに書いてある企業との相性を確かめたい、企業に採用されても退職後が不安なのでお試しが良い、組織外の弁護士として収入が得られなくなった等の事情は組織の立場を考慮しない求職者側の一方的都合
4 日弁連ひまわり求職ナビを改良させるべき
感想だが、3の批判は企業からするとごもっとも。たしかにこれは弁護士の都合の論理
2の批判はピント外れ。お試しをしたうえで、慎重に正社員として採用すれば良いのであり、単なる面接の繰り返しだけでなく事件処理も担当してもらうのは良いはずである。
どうも、企業に関して弁護士会が勝手なことをするな!という感情が見え隠れしているような気がする。
ただ、私は、人は立場によって意見が変わるわけなので、組織内弁護士協会がこのような意見を出すことは不当だとは思わない。
現在日本組織内弁護士協会のメンバーは1000人弱。企業に所属する弁護士の利益状況、論理と、自営業者である弁護士の利益状況、論理はかけ離れているのだろう。
企業内弁護士はどんどん増えている。そのうち、企業内弁護士から、会費値下げ要求、事業仕分け要求、弁護士会任意加入の要求が強まるかも知れない。
企業内弁護士は、会社に監督されており、法務省に監督されるのも気にならないかも知れない。

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