遺産分割調停を経験する人はあまりいないはずです。分けられる遺産があるということですし、預貯金が残された場合は、銀行との関係で、調停をするまでもなく、分割してしまうことが多いです。借金が残されれば、相続放棄です。
かつては、実家の土地建物を長男が相続して、その他の相続人にどのような代償金を払うのか、という紛争が多かったですが、今はそのようなパターンは減ったと感じています。相続人間の平等の意識が高まり、相続分に応じて均等に分ける、そのためには実家も売ってお金で分けるということが非常に多くなりました。また、かつてはお嫁に行った女性はあまり権利主張されない方も多かったですが、今はそのようなことも少ないと感じています。
さて、遺産分割調停は増えているようです。地方裁判所の訴訟事件は減っているようなのですが、家庭裁判所は、夫婦関係調整(離婚)事件、遺産分割事件、遺留分減殺請求事件、後見関係の事件、皆増えているようです。
かつては、離婚調停事件ではあまり弁護士は代理人になりませんでしたが、今は、代理人が付いている割合が高まっているようです。一方、遺産分割事件にはあまり弁護士は代理人についていません。弁護士費用の関係ですかね?
さて、遺産分割調停は次のように進みます。
冒頭での調停の説明など→相続人の確定→遺産の範囲の確定→遺産の評価→遺産を具体的に分ける→調停成立、といった具合です。
ただ、調停による話し合いがまとまる見込みがないと調停委員会が判断すれば、調停を不調(不成立)にするか、取り下げを申立人の人にお勧めするか、ということになります。
調停で相続人の確定が問題となることはあまりありませんが、遺言があって、包括遺贈がされていた場合、その受遺者は相続人と同じ扱いになりますので、遺言が有効か無効かが大きな影響を受けます。公正証書遺言でも問題とはなるのですが、自筆証書遺言では良く問題となります。
ただ調停で、遺言の無効が本格的に主張される場合は、調停を進めるのは無理ですので、調停を取り下げして、遺言の有効無効を確認する裁判を地裁で行い、その決着をつけて、調停をすることになります。
また、遺産分割調停と、遺留分減殺調停は、実は全く種類の違う調停です。
この遺言の有効無効、という論点と、遺産分割調停と遺留分減殺調停のちがいは、次回以降書こうと思います。