相続よもやま話5 遺言の有効無効 1遺言能力

11月から12月にかけてとても忙しくて、投稿ができませんでした。

さて、遺言の有効無効の話をしたいと思います。

まず、遺言能力です。事物に対する一応の判断力、意思能力があれば良いとされます。実務上は高齢者の方の判断能力、成年被後見人の方の能力が良く問題となります。

遺言に必要な意思能力の有無は、精神上の障害の存否・内容・程度、年齢、遺言前後の言動や状況、遺言作成に到る経緯、遺言の動機・理由、受遺者との関係、遺言の内容、遺言の作成過程などが考慮されて判断されています。

なお、文献では、遺言者が自分のしている行為の性質を知っていること、自分の財産の性質と量を知っていること、自分の贈与の自然な対象を知っていること、という基準(英米法の考え)を紹介するものもあります。

また、遺言能力は、契約締結能力は低くて良いという判例もあるようです。 

私の感覚的な話ですが、自分の相続人に対する単純な遺言なら、ある程度判断能力が低下しても有効になるのかな、という感じがありますが、複雑な遺言は、相当高度な判断能力が必要と思います。

具体的には、子供の○○に全部やる、子供の○○に全部相続させる、といった遺言は判断力が多少低下しても有効になりやすいかもしれませんが、相続させる人がたくさんいて、それぞれに多様な遺産を相続させるという遺言だったら、相当高度な判断力が要ると思います。

公正証書なら、遺言能力には問題ないということではありません。公正証書でも無効となる遺言はたくさんあります。もちろん公正証書遺言は非常にたくさん作られていますから、無効となるものはごく一部ではありますが。

次回は、成年後見と遺言能力を書こうと思います。

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