●遺産分割協議はいつするのが良いでしょうか。
決まりはないが、葬儀の時は早すぎという意見は多いです。49日、納骨後でしょうか。ただし、債務が多く相続放棄を検討する余地があるときは、もっと早く遺産について話をすべきです。相続税の申告は10ヶ月後なので、その前が1つの区切り隣ることが多いです。もっとも分割未了での相続税の申告は可能です。いったん相続のために遺産分割をすると、遺産分割のやり直しは贈与扱いとなるのが原則です。これは注意してください。
●親と同居していた相続人は多く相続するのは当然でしょうか。
難しい問題です。 本当にケースバイケースです。一般論として親と同居は子供としての単純な喜びより、家族と親との関係も有り、労苦の方が多いのではないかと思います。ずっと健康な親でも、亡くなる直前の心身の苦労はあります。ただ、評価は難しいです。
一方で、親の財産の家に住み、親は健康・自分で生活、親の財産で生活というようなケースもあります。
寄与分による調整もあります。(民法903条の2 共同相続人間に事業に関する労務の提供、財産上の給付、療養看護などにより被相続人の財産の維持につき特別の寄与をした場合に、取り分が増える)。ただ、特別の寄与という縛りがあります。
家庭裁判所もうまく処理できていないと感じます。結局、寄与分、特別受益を除き、法定相続に行き着くことが多いです。 それを調整するものとしての遺言がありますが、今後は遺留分を無視した不公平な遺言になることも多いです。
●遺言と異なる遺産分割をしてよいでそうか
相続人、包括受遺者の全員の同意があれば可能です。良くやられています。
●特別受益はとりかえせますか
民法903条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けたとき この特別受益に該当する額だけ、当該の相続人の取り分が減るだけです。他の相続人が特別受益のある相続人に返還請求があるのではありません。小遣いなどは特別受益に当たりません。しかし、金額が大きいときは、生計の資本という要件を柔軟に解釈して特別受益と判断した判例はあります。
なお、持ち戻し免除の意思表示(特別受益扱いしなくていい)という相続人の意思を認定すること多いです。 特別受益の疑いがある贈与の証明は難しいことが多いです。遺産分割調停で、過去の預金の動きで、これは特別受益だという主張は良くありますが、その証明はできないことが多いです。家庭裁判所は積極的な調査はしません。
特別受益は贈与ですから、不当利得や、不法行為で返還請求はできないはずなので、民事裁判での請求もなかなか考えられません。