遺留分減殺請求その1

これから私のブログで、遺留分減殺請求について述べていこうと思います。またこのブログを書くことにより、自分の勉強及び知識の再確認もしていくつもりです。

遺留分制度の意義

私有財産制のもとでは、人はその所有財産を自由に処分することができる。この原則は、生前の財産処分の自由だけでなく、遺言による死後処分の自由に及ぶとされる。この原則に忠実なのが英米法の発想である。しかし、残された家族の保護のためいろいろな法律などで遺言の自由が制約されているとのことである。一方、大陸法は、そもそも相続人を保護するために被相続人の財産処分の自由に一定割合額の制限を設ける。これが遺留分制度である。

我が国の遺留分制度は、被相続人による財産処分の自由・取引安全と相続人の生活の安定・財産の公平な分配という相対立する要求の妥協・調整の上に成り立っている。

その結果次のような特質を持つ。

1 被相続人が自由に処分できる財産とできない財産があらかじめ区分されてはいないし、自由に処分できる財産の割合がはじめから定まっているわけではない。

2 相続開始以前の被相続人の財産処分の自由は(たとえ遺留分を侵害するものでも)保障されている。相続開始後はじめて遺留分侵害の有無が決まり、遺留分減殺請求をする余地が生まれるのである。

3 相続が開始しても、遺留分を害する被相続人の処分が当然に無効になるのではなく、遺留分権利者が遺留分侵害する処分を減殺できるだけである。

4 遺留分権利者は、減殺清遊しても被相続人が処分した財産そのものを取り戻せる保証はない。

遺留分制度の評価のちがい

裁判官、学者には、遺留分には積極的意義が見いだせないという見解の方もいるようである。

しかし、国民の間には、遺言及び遺留分の考え方が相当浸透している。私は家庭裁判所の調停委員も担当しているし、相続をめぐる事件の担当、相談は多い。国民にとって遺留分は、相続人間の実質的平等をそれなりに担保する制度、という意識が強まっているように感じられる。

民法の家族法は、かなり平等を意識した法律であるし、家裁実務も法定にのっとった解決及び当事者の平等が指導理念のように見える。婚外子の差別の見直し、成年被後見人の選挙権の回復など、国民意識はより平等を重視する方向に動いている。

私は遺留分を積極的に評価したい。

 

 

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