気まぐれですが、東京家裁が改訂した算定表について述べます。
離婚したときの子供の養育費、離婚していない場合の夫婦の生活費(婚姻費用)について、算定をより簡易化し、迅速な算定を実現するために平成15年に標準算定方式とこれによる算定表についての研究の結果が公表され、実務において広く定着しました。
それまでは、計算がとても複雑で、弁護士でもきちんと計算できる人はあまりいなかったと思いますし、家庭裁判所では調査官が必死に計算していた、とベテラン調査官から聞きました。
ざっくり1人5万円を基本とするような発想の弁護士は多かったのではないでしょうか。
算定表の公表により、養育費や婚姻費用の計算がとてもやりやすくなり、ネットにものる位となって一般の方でもこの内容を知る方は多くなりました。調停実務でも一般的に使われ、かなり費用の計算が「透明」になり請求する側に有利になった面があります。
もちろん算定表は典型的なパターン(たくさんパターンはありましたが)についてのもので,個別事情の修正の必要、そもそも算定表には当てはめられないケースもありました。算定表の金額が低すぎるという批判もあり、日弁連が対案を平成28年に出したりしました(日弁連両性の平等に関する委員会の書籍は平成29年出版)。
この日弁連の動きの影響もあったのでしょうか、令和元年12月23日付けで東京家裁の新しい算定表が公表されました。
内容的には、若干額が増えています。私が直近で扱った事案はそこそこ高収入の方ですが月額3万円増えました。1~2万増えるというケースは多いのかもしれません。ただし増えないという事案もあります。
さて、算定表にはQ&Aが付属しています。それに平成30年版の賃金センサスが資料としてついていました。実はこの資料はとても助かりました。源泉徴収票などきちんとした資料が出ないケースなどで、収入の推計をするために賃金センサスは重要です。弁護士会の赤い本(交通事故損害賠償算定基準)には賃金センサスが載っているのですが、載っている年度が古いです。ネットで厚労省のホームページを検索してもボーナスを含めた年収の表を発見できませんでした(月額の賃金は直ぐに出るのですが)。