地方自治体の任期付き公務員弁護士 法務専門官
関東の某市で任期付き公務員をしている友人の弁護士がいます。今日はそのお話をいろいろ聞けました。(うちの事務所の元事務局D君ではありません)
まず、名前はその市では「法務専門官」というのだとのこと。普段も、「専門官」と呼ばれている。
労働時間は8時半から5時15分まで。選挙などがあると遅くなるが、普段は5時30分には帰れるとのこと。当然、土、日、祝は休み。給料は悪くないが、社会保険、税金でがっぽりひかれる、こないだ賃下げがあった、そうです。
仕事の内容は、職員からの法律相談と、職員研修が中心。相談は月10件程度。
職員の相談は、プライベート相談ではなく、例えば、市営住宅の相続問題など。市営住宅は借地借家法のダイレクトの適用がないが(最高裁判例とのこと)、高齢者が亡くなって、引き取り手がない、相続放棄した、そんなときどうするか、というような問題が多いよう。とにかく相続問題が多いようです。
条例を作ることなどの「例規審査」、「公共工事の契約」などは専門のチームがあり、あまり相談はないとのこと。ヌシ、というかプロがいるようです。
なお、今多くの自治体で関心があるのは、誰も住んでいない空き家問題とのこと。壊せる条例を作りたい、という問題関心を多くの自治体が持っている。建築基準法も活用出来る可能性があるが、住民は、誰も住んでいない、ガラスが割れてるから防火、防犯上問題があるので壊してほしいという要求が強いとのこと。これ具合では建築基準法ではむずかしい?
3月に、大阪と東京で任期付き公務員になっている弁護士の交流会があったそうです。
賃金等労働条件などはほんとに千差万別のようです。仕事は、職員の法律相談と研修が二本柱。そして、その自治体が関心を持っている仕事が割り振られている。
共通して困っていることは、2つ。
弁護士会費が高いこと。東京弁護士会では月約4万円会費(日弁連会費を含む 地方会はもっと高い)がかかる(弁護士登録を抹消しない人も多い、抹消して弁護士になると馬鹿高い登録料がかかる。地方会はやはり高い)。先日、東弁で会費減額が決まったとのこと(気づきませんでした)。
そして、任期付き公務員は最長5年しか努められないが、そのとき元の事務所に戻るのか、別のところの任期付き公務員になるか、が問題。ただし、経験者の方が知識経験の面で、アドバンテージがあるとのこと。
先行き不透明なところはあるが、例えば借地借家法等の法律が、行政事務において修正されていること、いろいろ頭を使う必要があるととなど、おもしろくて充実している毎日だとも生き生きと語ってくれました。
ちなみに、前記の全国の交流会でも共通的に話題にでたとのことだが、所属している自治体の公務員は、残業をあまりつけないし、給料もそんなに高くないし、労働もきついように見える、とのこと。