破産今昔物語14
昔も今も、破産事件の依頼者との関係で大変なのは、連絡と待ち合わせた。
固定電話はない、携帯電話は出ない、留守電に電話くださいとメッセージを入れても返事が無い、
手紙を出しても応答が無い,なんていうのも時々ある話。
経済効率を考える弁護士は、ここで辞任するだろう。
ただ、お客さんのがわにも気の毒な事情があって、
例えば鬱病が悪化して何も気力が無くなっていたとか、
糖尿病が悪化してやはり気力が無くなっていたとか、
教育費、生活費に困窮して夜勤をたくさんやり過ぎて疲れ果てていたとか、といったときもある。
手紙や、電話や,電報や、あらゆるツールで粘り強く連絡を取ろうとする。
場合によっては訪問をする(ごくまれだけど)。 ただ、このようなお客さんがいて、
こちら(弁護士サイド)に病気になったとか、
大規模事件の山場が訪れ、首相官邸前や,
厚生労働省前や,日比谷公園に張り付いていたりすると、
事件処理が…うまくいかなくなることがあった。
それから、例えば破産の免責審尋、
債権者集会でお客さんが裁判所に来なければならないときがくせ者だ。
地下鉄に乗ったことが無い人とか、出口を間違える人もいる。時間もアバウトな人も結構いる。
それで、これは時間通り来ないと、場合によっては免責が出ないよ、
といって、あらかじめ裁判所の地図と待ち合わせ時間(念のため期日の20分から30分前にする)
と場所を明示した手紙を出し、数日前に確認の電話をする。
前日の電話では、留守電で通じなかったり、
電話代未払いで止められていることもある。
これだけ注意をしているが、
それでも今日の待ち合わせは裁判所職員の不適切な指示もあったのか、
行き違いがあった。
さいわい少しの遅刻で大事に到らなかったが、ひやひやだ。