破産今昔物語1

破産今昔物語1

弁護士登録して30年近くになる。一年目から自己破産事件はあった。

お金がなくて困っている人から弁護士費用をいただけるなんてとても考えられなかった。

それで、破産の陳述書を書くお手伝いをして、多少のお金をいただいていた。

何もかも手探りで、破産による資格制限について、破産法上にはないものについて、

不適切なアドバイスをするというミスをしたという苦い思い出もある。

そのうち、今まで業者に支払っていたお金を弁護士に分割で払っていただけたら、

弁護士費用もいただけるとわかり、代理人になる様になった。

お客さんは、そのとき、月々●●万円分割で払えます、というけど、ほとんどの方が、その額は払えない。

経済感覚が壊れていたり、今までさんざん無理をしていたりで、目算通りには行かない。

家計簿をつけても、それは実態を反映しないことが多く、

弁護士費用や支払い原資を決めるのに意味が十分あるか疑問だった。

それで…、数ヶ月弁護士に預けてもらって、それで、その人の支払い可能な金額はどういうものか判断するようにした。

今の民事再生の東京地裁の半年の期間の発想と近い。

さんざんお金のことで苦しめられて、頭の中が、どうお金を回すかでいっぱいになっていたいたお客さんが、

不正確なことを言っても、あるいは誇大なことをいっても全然怒る気にはなれなかった。

弁護士は風よけですよ。もう大丈夫、何とかなりますよ、と言ってお客さんがほっとしてくれるのがとてもうれしかった。

なお、家計簿をつけるのに意味がないわけではありません。

尊敬する先輩で、必ずつけさせる、と言う人もいるし、私も家計簿をつけてもらうこともあります。

あ、時間切れだ。この次はまたの機会に。

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