破産今昔物語5
東京弁護士会の相談の画期的なところは、やはり全件受任主義だと思う。
数十万円の着手金を早い段階で用意してもらう、相性も悪くない相談者を依頼者をする、
という発想では、サラ金地獄に陥っている被害者を救済できないのだ。
しかし、従来型発想で弁護士会サラ金相談に当たっていた弁護士もいて、問題となっていた。
私は、全件受任主義を貫いたが、一件だけ断った相談者がいる。
大変
借り方に問題があった。その詳細は、ここでは書けない。
旧弁護士会館での相談で、20年ぐらい前の件だ。
全く別件について、破産の免責不許可事由で関する説明で、口頭で、こういう借り方はいけませんよ、
なんてこの事案を念頭に説明することはあったが、
いざ相談でこういう件があったということを書くのはすごく抵抗がある。
全件受任主義で本当に悩んだのは、のちのヤミ金事件である。もちろん、圧倒的多数は悲惨な被害者なのだが、借りることについて全く麻痺して、弁護士が付い
てもヤミ金から借りる、一応の解決をしても、またヤミ金から借りる、
ごくまれに、ヤミ金事件を弁護士に依頼して一応解決して、また借りて別の弁護士に依頼
し、一応解決してまた別の弁護士に依頼する、という繰り返しをした人もいた。
弁護士を4人とっかえひっかえした相談者がいた。
ある弁護士は、俺はヤミ金利用者を救済するためにヤミ金事件をやるんじゃない、
ヤミ金という犯罪者をぶっつぶすためにやっているんだ、と言っていた。